****** LCGT 干渉計制御部会 作業リスト ******* 川村さんから提示された検討項目のリストは以下の通り。 (1) アラインメント信号取得  (2) 雑音の計算  (3) ロックアクイジション  (4) 輻射圧の影響  (5) マッハツェンダーの問題  (6) パラメトリックインスタビリティー  (7) SPI(やるなら) 私(麻生)なりに考えて、行うべきことのリストを下に並べました。 (0) 作業の進め方を決定 この作業部会のメンバーは複数の場所(国際的)に分散しているため、どのように作業を進めるかを考える必要があります。 私の案としては、メールでのやりとりを基本としたいと思っています。必要に応じてSkype会議を行うことも考えます(2週間に一度ほど)。 メーリングリストを作るかどうかは、今後の状況を見て考えますが、まずは「全員に返信」を繰り返す形で、議論を進めていきたいと思います。 まずは、このメールで私が提示した作業項目について、皆さんの意見を聞いた上で、各タスクを個人に振り分けたいと思います。 その上で、各タスクの進捗状況を逐次メールで報告していただき、議論をしていきたいと思います。 また、ある程度まとまった結果はWiki上に置いていきたいと思います。 ------------ 寄り道 ------------- 少し本題とはずれますが、リモート会議に関しては、Skypeの他に、DimDim(http://www.dimdim.com/)のようなオンライン会議システムの利用もテストしたいと思っています。DimDimでは、プレゼンをしている人がマウスを使ってスライド上に線を描き込んだりできるので(会議中リアルタイムで)、例えば「ここから、ここに、、」というようなSkypeだけで会議をしているとなにがなんだか分からなくなるような、それでいてテクニカルな議論をする場合よく出てくる発言が可能になります。LCGTを進めていくと、リモート会議がもっと一般的になってくると思われるので、そのためのリサーチをこの作業部会で行えればと思っています。もちろん、これが主目的では無いので、会議の効率が落ちない範囲でちょっとずつテストして行きたいと思っています。 ------------ 閑話休題 ----------- (1) 現状確認 まずは現在提案されている、長さ制御(LSC)とアラインメント制御(ASC)方法をメンバー間で確認したいです。 私の認識としては、長さやアラインメントの信号検出方法に関しては原理的な計算が行われているが、ループを閉じたときにどうなるのかという検討はまだほとんどされていないというものです。つまり、LSCのうち、LS(length sensing)まではかなり検討されているが、C(control)はまだ検討が不十分だと思っています。 そもそも麻生自身がLCGT用LSCとASCの設計に直接関わってこなかったので、現在どこまで設計が進んでいるのかを把握したいというのがこのステップの目的です。具体的には、佐藤さんや宗宮さんに、簡単な現状報告を(まずはメールで)行ってもらい、作業部会メンバー内で現状の共通認識を形成したいと思っています。その上で今後必要なタスクを洗い出したいと考えています。 (2) 下記の検討項目をメンバーに割り当て、平行して作業を進める。 以下は、暫定的なタスクリストですが、現状確認を行った後、皆さんと議論してリストの内容及び優先順位を詰めていきたいと思います。 なお、私が下記で取ろうとしているアプローチは、LCGTのSimulaiton Modelを作り、できるだけ現実の干渉計で起こり得るであろう問題を先取りして考えようというものです。もちろん、Simulationは完全ではありませんが、各要素をバラバラに検討するだけでは見えてこない、システム全体としての整合性を見るためには、統合的なモデル構築が必要だと思います。これ以外のアプローチの方が良いという案がある場合、ぜひ提案してください。 (a) Optickle等を用いた、干渉計モデルの構築 具体的にどのようなツールを用いるかは検討項目の一つですが、例えばOptickleを用いてLCGTのモデルを作り、そこでSensing Matrixの再確認をまず行いたいです。さらにこのモデルをベースとして、下記で述べるループ雑音の検討等を行い、熱雑音や電子回路の雑音まで含めた総合的なNoise Budgetが出せるようなモデルを最終的に構築していきたいです。様々な要素の検討結果は、このモデルに統合されるような形を目指します。 (b) ループ雑音 (a)のモデルを用いて計算することになると思います。"LCGTの制御系はこういうフィルターを使う予定です"ということが言えるぐらいまで、きちんとしたモデルを構築したいです。 まずは散射雑音を元にループ雑音の影響を見積もりますが、その後は干渉計本体以外の各部分(PD, Demodulator,Feedback System, Actuator etc)への要求値もこの作業から求めていくことになると思います。 Length系とAlignment系を分割して作業したほうが、担当者の負担が少ないかもしれません。 (c) 輻射圧の影響 基本的な(長さ方向の)輻射圧はOptickleで計算可能です。Sidles-Sigg Instabilityに関しては、Optickleで計算できるかちょっと分かりません(Mattに聞いてみます)。もし出来ないようでも、我々がそれをOptickleに実装することも可能だと思います。ただLIGOのツールをもらって計算するよりも、こちらがツールを改良することで貢献するのは良いことだと思いますし。 (d) Mach-Zehnder Mach-Zehnderの制御雑音が干渉計にどういう影響を及ぼすかも、(a)のモデルを用いて計算可能だと思います。 変調指数が半分になってしまうことの問題も考える必要があるでしょう。 MZを使わない場合、Sub-sidebandがどこまで問題になるのか。また、Filter CavityでSub-sidebandを消すことはできるのか、等を検討する必要もあります。 (e) Lock Acquisition これをきちんとSimulationするには、Time DomainのE2Eが必要でしょう。これはちょっと大変ですね(要確認with山本さん)。 また、ArmのPre-Lock等、補助的な方法について、何が必要で、どういう問題があるのかをリストアップしていくのも最初の仕事になると思います。 (f) Parametric Instabiliy LCGTの場合の計算は一応なされているんですよね? まずは現状確認が必要だと思います。 ミラーの曲率の選択などとも関わってきますし、曲率を変えるとなれば熱雑音や、Sidles-Sigg Instability、WFS信号も変わってきます。 この辺りは、Alignment関連項目として、まとめて議論した方が良いかもしれません。 (g) Local Sensors 干渉計のComissioning作業には種々のLocal Sensorが必要になります。制御の観点からどういうセンサーが必要なのか、また、それぞれの性能要求はどれぐらいなのかを見積もっていく必要があると思います。実装の検討は三代木さん担当の干渉計サポート部会の仕事かもしれませんが。 (h) SPI これは特殊作業班で検討します。 (3)ツール選定 これは上記のタスクに取りかかる前に決めておくべきことですが、どういったツールを用いて計算を行っていくのかというのを議論しておく必要があると思います。もちろん解析計算が基本にあるわけですが、それでは「時間がかかる」とか「式が複雑過ぎて結局数値を入れないと何がなんだか分からない」というようなことになってしまうと思われます。そこで、Simulationツールの使用が重要になるわけですが、私としてはOptickleがいいのではないかと思っています。他に推薦や、Optickleに対する反対意見などがあれば、ぜひお願いします。 (4) Version Control, Code Review体制 上記のツールとも関連しますが、この作業部会では、様々な雑音や干渉計応答を計算するためのプログラムが書かれることになると思います。一般に誰かが書いたコードは他人には理解できない/使えないことが多いですが、LCGTに向けた設計作業ではそれぞれのコードを少なくとも二人以上の人間が理解し、結果のチェックを行っている状態が望ましいと思われます。さもなくば、我々が行おうとしているような複雑な干渉計のSimulationでは、簡単に間違いを犯してしまいます。また、プログラムではなくて解析計算でも、複数人によるクロスチェックは重要です。 そこで、各種コード、文章を共有、管理するために、Version Control System(VCS)を使うことを提案します。プログラムのコードだけでなく、各種の計算過程や結果をまとめたドキュメント等もVCSで管理をします。VCSとして何を使うかですが、標準的なSVNでいいと思います。 また、上記各タスクにはそれぞれ二人以上を割り当てるか、たとえメインで担当する人が一人であったとしても、必ずReviewerを割り当てて、結果のチェックを行うようにしたいです。ただ、マンパワーを考えると厳しいものもあると思うので、これに関して皆さんの意見を伺いたいです。 (5) 実験 とりあえずこの作業部会では計算やモデリングを中心に作業を進めることになると思いますが、そこで得られた結果を確認する上で、実験が必要になってくることもあると思います。逆に、モデル計算に必要なデータを実験で求める必要もあるかもしれません。とにかく、全く実験による実証なしで建設を進めるのは怖いです。時間、コストの問題で、どこまで実験が出来るか分かりませんが、各タスクに取りかかる上で、どういう実験ができるかを常に念頭において作業を進め、どういった実験を実際に行うか議論をしていきたいと思います。 (6)用語統一 これは「おまけ」です。 干渉計関連では略語の使用が激しいですが、ある程度の統一を計っておいたほうが議論がスムーズに進むかもしれません。 また、略語や用語はLIGO流と日本流でもずいぶん違います。 まあ無理やり統一をしなくてもよいですが、よく使われる略語/用語は表にしておくとメールでの議論などで誤解が生まれにくいと思います。 以下、簡単な表を作りましたが、Wikiのどこかにこういうのを置いて随時充実させて行くと、例えば新しい学生さんなどに対する参入障壁を下げられるかもしれません。 日本 LIGO L- DARM(ダーム) L+ CARM(カーム) l- MICH(ミッチ) l+ PRCL(パークル) ls SRCL(サークル) Inline-arm X-arm Perpendicular-arm Y-arm ダークポート,DP AS(Anti-Symmetric port),AP(Anti-symmetric Port) ブライトポート,BP SP(Symmetric Port),REFL(REFLection port) 長さ制御 LSC(Length Sensing and Control) アラインメント制御 ASC(Alignment Sensing and Control) NM(Near Mirror) ITM(Input Test Mass) EM(End Mirror) ETM(End Test Mass)