1) 解析からの要求に関して
LCGT 解析は TAMA とは大分プロセスを変えないといけないと
思っていますが解析 "blue-print" が上がってこないので
未だ何も方針が見えないのが現状です。
"blue-print か white paper" で明確にしないといけない項目をまとめます。
1-1 RAW DATA から重力波探査プログラムに掛けられるまでのプロセスを決める。
以後、探査プログラムに掛けるデータのことを processed data と呼ぶことにする。
1-2 各重力波源に対する "processed data" の仕様を決める。
周波数帯域、時間精度、形式(時系列 or スペクトラム)
1-3 上記を満たすために RAW DATA に課される仕様を決める。
必要ならば、RAW DATA の段階でホワイトニング・フィルター仕様や
記録する周波数帯域を、制御用のそれらと別にするか否かを決める。
個人的には、iLIGO でそんなことしてないから LCGT でも不要という論理は
おかしいと思うのできちんと検討すべき。
1-4 ADC の dynamic range に関しては、単に as much as possible というのが
解析の立場からの要求。
単に重力波信号を検出するだけでなく、検出された重力波信号から
重力波源天体の情報を得たい場合には出来る限り分解能が欲しいから。
以上の検討項目の "due date" に関する個人的見解。
1 から 3 に関しては commissioning の始まる 2013 年までに決まっていれば良い。
ただし解析グループの最近の進展(進展のなさ)を考えると不安。
1-4 に関しては bLCGT での問題と割り切っても良いだろう。
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2) Pre-emphasis/De-emphasis の仕様に関して
2-1 目標感度と actuator の仕様が決まれば、de-emphasis の仕様を
決めることが出来る。
以上と深く関連するのが actuator の階層的動作です。
これは suspension point interferometer 導入の是非を議論した時に
色々と試算があるはずです。
一度適当な actuator と防振性能の仕様で de-emphasis が破綻しないか
試算するのが良いと思います。
CLIO でも未達成ですが、10 Hz とか 数 10 Hz で良い感度を達成するのは
非常な困難ですので、防振+制御+回路+デジタルで何度かやり取りする
必要があります。
2-2 Pre-emphasis filter は、制御設計や地面振動の影響などで決まるので
いままでは as is でした。現地で error spectrum を測定し、それを元に
適切に設計するというやり方だったと思います。
厄介者は 15, 30, 60 Hz のハム雑音たちで、これらが実質の pre-emphasis 仕様
を制限するというのがこれまでの経験でしょうか。
2-3 RMS の要求ってのは、typical case については試算出来るのですが
現場ではほとんど当てになりません。worst case が重要です。
一つのやり方として typical case を満たすよう設計した filter で
どこまで地面振動の影響などを悪化させると制御が破綻するか試算すること。
それを防振グループへの worst case への要求値として渡すことが考えられます。
以上の検討項目 due date ですが、「2-1 の階層的 actuator の設計」は
重要且つ急ぎの検討項目でしょう。
2-3 は bLCGT での問題とするしかないと思いますが、
どうでしょうか、、、判断しかねます。
それ以外は TAMA, CLIO を通して原理的実証も、試験機テストも終了済みなので
あとは commissioning で詰めていけば良いと思います。
KAGRA/Subgroups/DGS/Meeting/20110203/DynamicRange (last edited 2012-06-06 16:48:20 by OsamuMiyakawa)