Common Mode Servo Oscillation Issue

Common Mode Servoが発振している問題のまとめページ.

概要

2024/05の一連の測定から,Common Mode Servoの半分以上がMHzで発振していることがわかった.この問題への対処のため,測定結果・原因・対策などを以下にまとめる.

背景

原因

詳細は霜出さんのレポートを参照.

発振の原因は,Common Mode Servoの初段のdifferential driverにある.帯域を広く取るためにAD829というオペアンプを使用しているが,このオペアンプは完全補償型ではなく発振しやすい.このため,differential driverの入力の一端がGNDに落ちていると発振してしまう.

KAGRAのCommon Mode Servoは基本的にはLIGOのデザインと大きな変更はないため,状況はLIGOにおいても同じはずである.しかし,LIGOでは(一部を除いて)Common Mode Servoの入力はdifferentialになっているためにこの問題は回避できていると思われる.一方,KAGRAではほとんどのCommon Mode Servoの入力がsingle endになっているため,入力の負極側がGNDに落ちている.入力信号のGNDとサーボのGNDがずれているならばおそらくこの問題は回避できるが,現状多くの回路はGNDが共通しているため,結果9台中6台(FIB X/YとIMC以外)が発振してしまっている.

(2024/05/16追記) その後の調査で,differentialの信号をBNCで入れても発振することがわかった.I/Q demodulatorのI/Q outをBNCの芯線を+signal,BNCのGND側を-signalにして入力した場合にも発振した.一方,single endで入れるにしても霜出さんのレポートのようにBNCのGND側がちゃんと回路のGNDに落ちていてシールドの機能を果たしていれば発振しない. Common Mode Servo同士の接続も確認した.ServoのSLOW OUT/FAST OUTのどちらでも,OUTを別のサーボのIN1/IN2に繋ぐと発振する.

(2024/05/31追記)

対策

回路室でのテストにより、フェライトコアをケーブルに巻くと28 MHzの発振が止まることが分かった。

各ボード詳細

Common Board Servo Board List

Gr PDH X/Y

現状

LIGOの状態

対策

klog

PLL X/Y

現状

LIGOの状態

対策

klog

Summing node

現状

LIGOの状態

対策

klog

CARM

現状

LIGOの状態

対策

klog

FIB X/Y

現状

LIGOの状態

対策

klog

IMC

現状

LIGOの状態

対策

klog

LIGOでの接続

Common Mode Servoの基本的な構造はKAGRAと変わらない(D0901781).ただし,KAGRAと違いほとんどの入力信号はdifferentialになっている(一部例外あり).

Gr PDH X/Y, PLL X/Y

LIGOのエンドステーションの配線はD1100670が詳しい. End Station ISC Electronics Wiring

"ALS Cavity Locking"がKAGRAでいうところのGr PDHに対応し,"ALS Laser Locking"がPLLに対応する.Gr PDHの直前の回路はI/Q demodulator,PLLの直前の回路はPhase/Frequency discriminatorになっている.

I/Q demod, PFD

LIGOのI/Q demodulatorはKAGRAのものよりも基板が追加で入っている(D1000181).I/Q demodulator本体(D0902745)はLIGOとKAGRAで共通だが,LIGOではI/Q demodulatorのdifferential output (I/Q)をDemodulator Breakout (D1000184)に接続し,フロントパネルからTNCでdifferentialな信号が出せるようになっている.

LIGOのPhase/Frequency discriminator(D1002476)はI/Q demodulatorとほとんど構造が同じで,メインの基板がI/Q demodulatorからPhase Frequency Discriminator(D1002471)に置き換わっているだけである.従って,フロントパネルからTNCでdifferentialな信号が出せるようになっている.

Summing node, CARM, IMC

センターエリアの配線はD1200666, D1900511に詳しい.

回路室での再現試験

発振の再現

Common Mode Servo (Gr PDH ver.3、坑内から持ち帰った筐体)の上方5 cmぐらいの位置にDual I&Q Demodulatorを設置、2台とも同一のDC電源から電源供給(ケーブル長~1 m)、demodulatorのI-MonとservoのIN1を1 mのBNCケーブル(+ BNC-TNCアダプタ)でつないで電源を入れ、Moku:Labにつないだ霜出さん作製のループアンテナをservoのinput付近やBNCケーブルに当てたたところ、~30 MHzぐらいの発振が見えた。

同軸ケーブルでのDifferential信号入力

上記のセットアップでI&Q Demodulatorリアパネルの"I & Q Outputs Ch 1&2"のDsub 9ピンコネクタにDsubブレイクアウトコネクタを付けて1-6ピンをBNCブレイクアウトコネクタの芯線とシールドにそれぞれ接続、1 m BNCケーブルでCommon Mode ServoのIN1に接続してみたが、同様に発振した。

シールド付多芯ケーブルでの接続

2芯ケーブルは無かったが3芯のシールド付ケーブルがあったので、上記のDsubブレイクアウトコネクタを使ってI&Q Demodulatorの"I&Q Outputs Ch1&2"の1-6ピンを2芯に、残りの1芯とシールドをGNDに接続し、反対側はBNCブレイクアウトコネクタを用いてCommon Mode ServoのIN1の芯線とshellにdemodulatorの1-6ピン、残りの線とシールドはOUT2 TNC端子のshell (servoのGND)に接続したところ、発振は見えなかった。

フェライトコア(クランプフィルター)の取付

ケーブルに高周波のノイズが乗っているなら、と以下3種類のフェライトコアのクランプフィルターを購入してBNCケーブルに付けてみた。

BNCケーブル(1 m)にフェライトコアを装着することで30 MHz付近の発振は見られなくなった。

参考

Meeting

TBU

Reference

LIGO Circuits

LIGO Wiring

KAGRA/Subgroups/MIF/AEL/CMSB/Oscillation (last edited 2024-05-31 22:59:32 by KentaroKomori)