Differences between revisions 1 and 4 (spanning 3 versions)
Revision 1 as of 2024-05-15 13:07:47
Size: 113
Comment:
Revision 4 as of 2024-05-15 21:32:06
Size: 7667
Comment:
Deletions are marked like this. Additions are marked like this.
Line 4: Line 4:

<<TableOfContents(3)>>

== 背景 ==
2024/05の一連の測定から,Common Mode Servoの半分以上がMHzで発振していることがわかった.この問題への対処のため,測定結果・原因・対策などを以下にまとめる.

=== 測定結果 ===
 * [[https://klog.icrr.u-tokyo.ac.jp/osl/?r=29446|2024/05/09の測定]]により,Gr PDH Y のサーボ([[https://gwdoc.icrr.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/private/DocDB/ShowDocument?*docid=5813|S1605813]])から28MHzの信号が出ていることがわかった.
 * 回路を持ち帰って調べたところ,同様の現象が再現できた.
 * [[https://klog.icrr.u-tokyo.ac.jp/osl/?r=29456|2024/05/10の測定]]の測定から,Gr PDH Y の入力にIQ demodulatorの出力が繋がっていると出ることがわかった.ケーブルを疑いBNCを交換(1m → 2m)すると28MHzでのピークは消えた.
 * その後の持ち帰った回路試験により,悪いのはケーブルではなくサーボ自身であることがわかった.サーボの入力段のdifferential driverが発振しやすいAD829を使っているため,'''入力の一方がサーボのGNDに落ちているとそこで発振する'''.
 * [[https://klog.icrr.u-tokyo.ac.jp/osl/?r=29503|2024/05/14の測定]]により,交換したGr PDH Yも発振しており,ケーブルの長さを変えたことで周波数がずれた(28MHz→19MHz)だけであったことがわかった.
  * 坑内にインストールされた9台のサーボについて発振を調べたところ,9台中6台(Gr PDHX/Y, PLL X/Y, Summing node, CARM)が発振していることがわかった.

=== 原因 ===
発振の原因は,Common Mode Servoの初段のdifferential driverにある.帯域を広く取るためにAD829というオペアンプを使用しているが,このオペアンプは完全補償型ではなく発振しやすい.このため,differential driverの入力の一端がGNDに落ちていると発振してしまう.

KAGRAのCommon Mode Servoは基本的にはLIGOのデザインと大きな変更はないため,状況はLIGOにおいても同じはずである.しかし,LIGOでは(一部を除いて)Common Mode Servoの入力はdifferentialになっているためにこの問題は回避できていると思われる.一方,KAGRAではほとんどのCommon Mode Servoの入力がsingle endになっているため,入力の負極側がGNDに落ちている.入力信号のGNDとサーボのGNDがずれているならばおそらくこの問題は回避できるが,現状多くの回路はGNDが共通しているため,結果9台中6台(FIB X/YとIMC以外)が発振してしまっている.

== 各ボード詳細 ==

=== Gr PDH X/Y ===
==== 現状 ====
  * どちらもLSC0 rackにインストールされている.
  * 直前の回路はI/Q demodulatorであり,Front panelのImonをサーボに入力している.この入力はsingle endなので,発振する.
  * I/Q demodulatorにはdifferential endの信号もあり,Rear panelのDsub9ピンから出ている.現状この出力はAA chassisに繋がってデジタルに流れている.
==== LIGOの状態 ====
  * LIGOではI/Q demodulatorの中身の構成がKAGRAと異なる.メインのdemodulator boardの後にBreakout boardがあり,そこでTNC出力でdifferential信号を出せるようにしている.これをCommon Mode Servoに繋ぐため,発振はおそらく起こらない.
==== 対策 ====
 * I/Q demodulatorの信号をdifferentialにしてBNC(or 2pin LEMO)でサーボに入れるようにする?

=== PLL X/Y ===
==== 現状 ====
  * どちらもALS1 rackにインストールされている.
  * 直前の回路はPhase Frequency Discriminatorであり,Front panelのOutをサーボに入力している.富山大で作った回路なので回路図とPCBしかなく,シャーシの中身の構成は不明.
  * 出力の端子がSMAなので,おそらくsingle endだと思われる.そうするとPLL X/Yのサーボは発振する.
  * Phase Frequency DiscriminatorにはRear panelからDsub9ピンが出ている.この出力はAA chassisに繋がってデジタルに流れているので,おそらくdifferentialの信号を出していると思われる.
==== LIGOの状態 ====
  * LIGOではFrequency DiscriminatorはI/Q demodulatorほぼ同じ構成をしている.メインのfrequency discriminator boardの後にBreakout boardがあり,そこでTNC出力でdifferential信号を出せるようにしている.これをCommon Mode Servoに繋ぐため,発振はおそらく起こらない.
==== 対策 ====
 * Phase Frequency Discriminatorの信号をdifferentialにしてBNC(or 2pin LEMO)でサーボに入れるようにする?

=== Summing node ===
==== 現状 ====
  * ALS1 rackにインストールされている.
  * 直前の回路はLSC0 rackのGr PDH X/Yであり,各サーボのSLOW OUTがsingle endでSumming nodeの入力にBNCで入っている.
==== LIGOの状態 ====
  * LIGOではALS CARMは電気ではなく光で和をとっているの状況が大きく異なる.
  * LIGOにも「Summing Node」という名前の回路があり,CARMのCommon Mode Servoの直前に入っているが,中身は一般のCommon Mode Servoとは異なりBoosterなどを外した構成になっている.
  * LIGOのSumming Nodeは2chある.入力はI/Q demodulatorから2つ,Frequency Discriminatorから1つ,デジタルのDACから1つの計4つで,全てdifferential endになっている.
==== 対策 ====
  * TBD

=== CARM ===
==== 現状 ====
  * ALS1 rackにインストールされている.
  * 直前の回路はI/Q demodulator(IN1)とSumming node(IN2)であり,どちらもsingle endなので発振する.
==== LIGOの状態 ====
  * LIGOではCARMサーボの直前はSumming Nodeの各chから来ている.
  * Summing nodeのSUM出力は通常のCommon Mode Servoと同じくsingle endになっている.なので,CARMサーボの入力はどちらもsingle endである.
==== 対策 ====
  * TBD

=== FIB X/Y ===
==== 現状 ====
  * ALS0 rackにインストールされている.
  * 直前の回路はPSL room内のThorlabsのPDで,single endの信号がBNC出力になっている.
  * 回路は発振していない.考えられる理由としては,ThorlabsのPDはAC電源で動くためGNDレベルはACラインからきており,入力信号のGNDがサーボのGND(±18Vの中点)とずれていることがあげられる.今後調査するべき.
==== LIGOの状態 ====
  * LIGOにはない?
==== 対策 ====
  * 発振していないなら特に必要ない?

=== IMC ===
==== 現状 ====
  * IOO0 rackにインストールされている.
  * 直前の回路はIMC REFLの復調信号(IN1)とCARMのFast OUT(IN2).復調はMini CircuitsのpassiveなRF mixer (とLowpass FIlter)でやっている.どちらもsingle end.
  * 回路は発振していないように見える.どちらもsingle endの信号で状況としては発振してもおかしくない.今後調査するべき.
==== LIGOの状態 ====
  * LiGOのIMCサーボの入力はI/Q demodulator(IN1)とCARMのFast OUT(IN2).IN1の方はdifferentialになっているがIN2の方はsingle endのはず.
==== 対策 ====
  * 発振していないなら特に必要ない?

== Meeting ==
TBU

== Reference ==
TBU

Common Mode Servo Oscillation Issue

Common Mode Servoが発振している問題のまとめページ.

背景

2024/05の一連の測定から,Common Mode Servoの半分以上がMHzで発振していることがわかった.この問題への対処のため,測定結果・原因・対策などを以下にまとめる.

測定結果

  • 2024/05/09の測定により,Gr PDH Y のサーボ(S1605813)から28MHzの信号が出ていることがわかった.

  • 回路を持ち帰って調べたところ,同様の現象が再現できた.
  • 2024/05/10の測定の測定から,Gr PDH Y の入力にIQ demodulatorの出力が繋がっていると出ることがわかった.ケーブルを疑いBNCを交換(1m → 2m)すると28MHzでのピークは消えた.

  • その後の持ち帰った回路試験により,悪いのはケーブルではなくサーボ自身であることがわかった.サーボの入力段のdifferential driverが発振しやすいAD829を使っているため,入力の一方がサーボのGNDに落ちているとそこで発振する

  • 2024/05/14の測定により,交換したGr PDH Yも発振しており,ケーブルの長さを変えたことで周波数がずれた(28MHz→19MHz)だけであったことがわかった.

    • 坑内にインストールされた9台のサーボについて発振を調べたところ,9台中6台(Gr PDHX/Y, PLL X/Y, Summing node, CARM)が発振していることがわかった.

原因

発振の原因は,Common Mode Servoの初段のdifferential driverにある.帯域を広く取るためにAD829というオペアンプを使用しているが,このオペアンプは完全補償型ではなく発振しやすい.このため,differential driverの入力の一端がGNDに落ちていると発振してしまう.

KAGRAのCommon Mode Servoは基本的にはLIGOのデザインと大きな変更はないため,状況はLIGOにおいても同じはずである.しかし,LIGOでは(一部を除いて)Common Mode Servoの入力はdifferentialになっているためにこの問題は回避できていると思われる.一方,KAGRAではほとんどのCommon Mode Servoの入力がsingle endになっているため,入力の負極側がGNDに落ちている.入力信号のGNDとサーボのGNDがずれているならばおそらくこの問題は回避できるが,現状多くの回路はGNDが共通しているため,結果9台中6台(FIB X/YとIMC以外)が発振してしまっている.

各ボード詳細

Gr PDH X/Y

現状

  • どちらもLSC0 rackにインストールされている.
  • 直前の回路はI/Q demodulatorであり,Front panelのImonをサーボに入力している.この入力はsingle endなので,発振する.
  • I/Q demodulatorにはdifferential endの信号もあり,Rear panelのDsub9ピンから出ている.現状この出力はAA chassisに繋がってデジタルに流れている.

LIGOの状態

  • LIGOではI/Q demodulatorの中身の構成がKAGRAと異なる.メインのdemodulator boardの後にBreakout boardがあり,そこでTNC出力でdifferential信号を出せるようにしている.これをCommon Mode Servoに繋ぐため,発振はおそらく起こらない.

対策

  • I/Q demodulatorの信号をdifferentialにしてBNC(or 2pin LEMO)でサーボに入れるようにする?

PLL X/Y

現状

  • どちらもALS1 rackにインストールされている.
  • 直前の回路はPhase Frequency Discriminatorであり,Front panelのOutをサーボに入力している.富山大で作った回路なので回路図とPCBしかなく,シャーシの中身の構成は不明.
  • 出力の端子がSMAなので,おそらくsingle endだと思われる.そうするとPLL X/Yのサーボは発振する.
  • Phase Frequency DiscriminatorにはRear panelからDsub9ピンが出ている.この出力はAA chassisに繋がってデジタルに流れているので,おそらくdifferentialの信号を出していると思われる.

LIGOの状態

  • LIGOではFrequency DiscriminatorはI/Q demodulatorほぼ同じ構成をしている.メインのfrequency discriminator boardの後にBreakout boardがあり,そこでTNC出力でdifferential信号を出せるようにしている.これをCommon Mode Servoに繋ぐため,発振はおそらく起こらない.

対策

  • Phase Frequency Discriminatorの信号をdifferentialにしてBNC(or 2pin LEMO)でサーボに入れるようにする?

Summing node

現状

  • ALS1 rackにインストールされている.
  • 直前の回路はLSC0 rackのGr PDH X/Yであり,各サーボのSLOW OUTがsingle endでSumming nodeの入力にBNCで入っている.

LIGOの状態

  • LIGOではALS CARMは電気ではなく光で和をとっているの状況が大きく異なる.
  • LIGOにも「Summing Node」という名前の回路があり,CARMのCommon Mode Servoの直前に入っているが,中身は一般のCommon Mode Servoとは異なりBoosterなどを外した構成になっている.
  • LIGOのSumming Nodeは2chある.入力はI/Q demodulatorから2つ,Frequency Discriminatorから1つ,デジタルのDACから1つの計4つで,全てdifferential endになっている.

対策

  • TBD

CARM

現状

  • ALS1 rackにインストールされている.
  • 直前の回路はI/Q demodulator(IN1)とSumming node(IN2)であり,どちらもsingle endなので発振する.

LIGOの状態

  • LIGOではCARMサーボの直前はSumming Nodeの各chから来ている.
  • Summing nodeのSUM出力は通常のCommon Mode Servoと同じくsingle endになっている.なので,CARMサーボの入力はどちらもsingle endである.

対策

  • TBD

FIB X/Y

現状

  • ALS0 rackにインストールされている.
  • 直前の回路はPSL room内のThorlabsのPDで,single endの信号がBNC出力になっている.
  • 回路は発振していない.考えられる理由としては,ThorlabsのPDはAC電源で動くためGNDレベルはACラインからきており,入力信号のGNDがサーボのGND(±18Vの中点)とずれていることがあげられる.今後調査するべき.

LIGOの状態

  • LIGOにはない?

対策

  • 発振していないなら特に必要ない?

IMC

現状

  • IOO0 rackにインストールされている.
  • 直前の回路はIMC REFLの復調信号(IN1)とCARMのFast OUT(IN2).復調はMini CircuitsのpassiveなRF mixer (とLowpass FIlter)でやっている.どちらもsingle end.
  • 回路は発振していないように見える.どちらもsingle endの信号で状況としては発振してもおかしくない.今後調査するべき.

LIGOの状態

  • LiGOのIMCサーボの入力はI/Q demodulator(IN1)とCARMのFast OUT(IN2).IN1の方はdifferentialになっているがIN2の方はsingle endのはず.

対策

  • 発振していないなら特に必要ない?

Meeting

TBU

Reference

TBU

KAGRA/Subgroups/MIF/AEL/CMSB/Oscillation (last edited 2024-05-31 22:59:32 by KentaroKomori)