LCGT用ドキュメントの作成ツールについて
注意:このページの内容は今のところ麻生の私見です。
LCGTプロジェクトを進めていくに当たっては、様々なドキュメントを作成することになる。それらのドキュメントは、複数の人間が共同で編集する場合も多い。そこで、ある程度文章作成ツールを統一しておいた方が最終的に効率が上がると思われる。以下に、私が思いつく文章作成ツールのリストと比較を挙げる。
名称 |
方式 |
プラットフォーム |
値段 |
取っ付き易さ |
コメント機能 |
バージョン管理 |
備考 |
TeX |
コンパイル |
Win,Mac,Linux,その他多数 |
無料 |
やや難 |
TeXそのものには無い。PDF化したものにAcrobatでコメントを付けることは可能 |
svn等との相性は抜群 |
TeXは参入障壁が高いが、研究者であれば論文はTeXで書く場合が多いと思うので、使えない人は少ないのでは? |
MS Word |
WYSIWYG |
Win,Mac |
3万円? |
直感的 |
有り |
svnとの相性は悪い。自前でバージョン管理機能がある? |
デファクトスタンダードなので、既に使っている人にとっては改めて使い方を覚える必要が無い。でも高い。 |
OpenOffice.org Writer |
WYSIWYG |
Win,Mac,Linux,FreeBSD,その他 |
無料 |
直感的 |
有り |
svnとの相性は悪い。自前でバージョン管理機能がある? |
Wordとほぼ同等の機能。違いは有料か無料かぐらい。操作方法は若干Wordと違うが、数日で慣れる程度。なぜみんな高いWordを使うのか個人的には疑問。 |
麻生の持論
私は技術的文章にはTeXが適していると思う。それは、文章の構造に集中することが出来、レイアウトは計算機が自動でやってくれるから。技術文章はセクションやチャプター等の論理構造こそが重要であり、それをどのように美しくレイアウトするかは編集という別の技術のはず。WYSIWYG(What You See Is What You Get)方式のワープロは一見直感的で使いやすいが、論理構造と見た目のレイアウトが分離できていないので、編集の素人が使うと最終的な仕上がりは美しくないし、レイアウトに無駄な労力をかけることになる。この様な哲学的理由から私は技術文章ではTeXの利用を推奨する。
ただし、ちょっとしたメモ的な文章は、WYSIWYGワープロの方が便利であることには異論が無い。ただし、その目的でMS Wordを使う必要があるのかは疑問。MS Officeは高い。アカデミック版で3万円ぐらい? 坪野研の場合4年生も入れるとメンバーが10人いるので、全員分ライセンスを揃えると30万円かかる。必要なソフトに30万円払うのはやぶさかではないが、ほぼ同等の機能を有するOpenOffice.orgが無料で使えるのに、MS Officeに30万円も払うのは理解不能。
MS OfficeはWindowsとMacでしか使えないのも問題。私がLinuxを使っているのは単に物好きというだけではなく、実用上利点があるから。LIGOのDigitalシステムはLinuxを基本にしており、さらにデータ解析用のクラスターやツールも全てSolaris又はLinux用に書かれているため、個人PCでLinuxを使うことに大きなメリットがあった。LCGTではLIGOのDigital技術を取り入れる予定だから、当然コントロールワークステーションはLinuxになるし、個人でLinuxを使う人間も増えるかもしれない。そういった時に、Linuxを排除するようなMS Officeを文章の基本フォーマットにしてしまうと、非常に不便。